都市伝説 クネクネ

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10年ほど前の話になります。
当時実家暮らしで、飼っている愛犬の散歩は私の仕事でした。

梅雨の時期だったため、ジメジメと蒸し暑い日でした。
だいたい散歩ルートは決まっているのですが、その日は木が生い茂っている農道なら涼しいと思い、いつもと違う道に向かいました。

夕方なのに日はまだ高く暑かったのですが、木陰に入ると思ったとおり涼しく、愛犬もいつもと違うルートにはしゃいでいる様子でした。

両側がりんご畑になっている開けた道に出て、農道車が頻繁に行き来していたので、細道に入ることにしました。

ですが道に入ってすぐに愛犬が立ち止まったのです。

さっきまで楽しそうにしっぽをふっていたのに、しっぽも耳も垂れ下がりその場に伏せて動こうとしません。かわいそうだったのですが、車の通りも多く歩道も整備されていない道だったので早く細道に入ったほうが良いと思い、抱きかかえて進みました。

しばらくすると降りたそうにしたので降ろすと、また伏せてしまいました。全然動く気配がないので抱きかかえようとしたとき前方に黒いものが見えました。

一直線の細道だったため100メートルくらい離れていたと思います。遠すぎてよく見えなかったのですが人影のようでした。私は視力が悪くその日はたまたまメガネをしていませんでした。

伏せていた愛犬が私の足元に寄ってきて、黒い人影をじっと見つめて震えていました。愛犬の様子が変なので不安になり、引き返したくなったのですが、前方の黒い人影がどうしても気になってしまい私も目を凝らして見つめてしまいました。

それは微かに歩いているように見えたのですが、いきなり左右にブリッジをするようにクネクネしだしたのです。
遠すぎてよくわかりませんでしたが、人ができる動きには到底思えませんでした。

恐怖心がふくらみ急いで愛犬を抱えて、もと来た道を走って帰りました。農道車が多い道まで戻りやっと安心することができました。

家に帰り家族に話すと笑われましたが、私だけが恐怖を感じたのではなく愛犬もおびえていたように思えました。

次の日に職場の同僚に話してみると、クネクネみたいだねと話してくれました。
クネクネは都市伝説で語られている妖怪のようなもので、ネットには田んぼなどで白くて細長いものがクネクネと動いており、その正体を見てしまうと精神に異常をきたすと言われているようでした。

メガネもたまたま忘れて遠くから見ていたため、正体がわかる前に逃げ出したからよかったけど、本当にクネクネだったら危なかったんじゃない?と同僚に言われ寒気がしました。

それ以来その道は怖くて近寄れなくなりました。散歩のたびに思い出していましたが、今では愛犬も亡くなり散歩にいく機会がなかったので忘れていました。

あのとき私と愛犬が見たのは”何”だったのか。
今となっては分かりませんが、確かめてはいけない気がします。もしあなたが遭遇した時には、”それを”見ようとせずその場から逃げることをおすすめします。

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